寄附行為上の収益事業会計の消費税処理

    

2022年3月22日付で、3高私参第12号 令和4年3月22日「収益事業会計に収益認識会計基準等を適用する場合の消費税等の会計処理について(通知)」が発出されました。

学校法人会計における消費税等の会計処理の実態や、収益事業会計が学校法人の経営に資することを目的として限定的に行われる事業に係る会計であることを踏まえ、収益事業会計に収益認識会計基準等を適用する場合でも、その消費税等の会計処理については従来通り税込方式(※)を採用しても差支えないこととする。

(※)消費税等の会計処理には、いわゆる税込方式と税抜方式があるが、税込方式とは、仕入れ等に係る消費税等を資産の取得価額又は経費に含め、売上げ等に係る消費税等を収入に含める方式をいう。

この通知は、以下のことが背景にあります。

企業会計においては2021年4月1日以降開始する事業年度から「収益認識に関する会計基準」が適用されています。この会計基準では、顧客から預かる消費税等の会計処理について、税抜方式を原則的な取り扱いとしています。

一方、学校法人の場合、学校会計の消費税の処理は税込方式が一般的です。消費税申告は法人全体で計算することから、寄附行為上の収益事業の会計についても同様に税込方式を採用していることがほとんどと考えられます。

しかし、寄附行為上の収益事業の会計に係る会計処理及び計算書類の作成は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従うこととされているため、「収益認識に関する会計基準」を適用する必要があるのではないか、仮に適用したとすると消費税の処理は税抜方式にする必要があるのではないか、という疑問が生まれます。

ただ、学校会計は税込方式、収益事業会計は税抜方式とするのは実務上弊害が多いのは明らかです。また、他の非営利法人会計では「収益認識に関する会計基準」の適用を先送りしていることから、何らかの措置が必要ではないかという意見もでてきます。今回の文科省の通知は、こうした意見に対応したものといえます。

寄附行為上の収益事業を行っている学校法人においても、消費税の処理は今まで通り税込方式で大丈夫ですよ、というわけです。

    
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